コース内の設備・装置2
発馬機
出走馬がスターターの合図で一斉にスタートを切ることができるように考案された装置。当初は旗を振り下ろす事で合図としていたが、後にバリヤー式発馬機が導入され、さらに現在ではゲート式のスタートで実施されている。(なお、1971年まで存在した繋駕速歩競走では、距離によるハンデだった為、スターターの振り下ろす赤旗がスタートの合図で、最後まで行われたほか、一時的にはモービルゲート方式が使用されていた事もある)
バリヤー式(濠州式バリヤー)
横に佇立させた出走馬の前に「スターティングバリヤー」と呼ばれる棕櫚縄のロープ(ネット)をフックを利用して張り、発馬担当者のレバー操作でフックを外すとそのロープが上方に跳ね上がり、これをスタートの合図とする。装置は簡便であるが、発走前の位置取りで騎手間の牽制があったり、突進や出遅れなどの問題が多く、現在のゲート式に切り換えられた。なお、バリヤー式には、軟式バリヤーと硬式バリヤーの2種類があった。
日本の競馬では1926年にこの方式が導入されたが、現在は使用されていない。
現在は競馬先進国ではほとんど用いられない方法であるが、欧州の障害競走では現在でも使用されており、30頭以上の多頭数が出走する英国のグランドナショナルなどで、日本でもこのバリヤー式によるスタートを見る事が出来る。
ゲート式
現在、世界的に見ても主流のスタート方式である。多くは電磁石や金具などで開扉する機構を持つ可搬式のスターティングゲートを使用する。枠で仕切ったゲート内に出走馬を佇立させ、スターターの制御によるゲートの一斉開扉をもって競走のスタートとする。
バリヤー式スタートの欠点を解消したスタート方法であるが、馬には本質的に狭所を嫌う性質がある為、ゲートに入れる為にはトレーニングが必要な上、トレーニングにより可能となっても環境が異なる実際のレースでは難渋し、最悪の場合には発走除外の措置となったケースも存在する。また、気性の極めて激しい馬の場合には、このゲート入りがどうしてもクリアできずに、結果として競走馬失格となる場合も見受けられる。
日本で最初に導入したのは1953年の大井競馬場を初めとする地方競馬の南関東地区である。これに用いられたのは「宮道式(みやじしき)」と呼ばれる電磁石の力だけで開閉を制御するものである。またこれは金具を使わず磁力のみによって扉を閉じているため、暴れた馬が突破してもゲートが開くだけで破損が置きにくく、メンテナンスが容易という利点を持つが、構造上出走頭数に制限ができてしまう難点がある。
地方競馬では現在でもこの宮道式の改良型を使用している所が多い。他方、近年はJRA式を導入している地方競馬場も存在する。ゲートの牽引車が宮道式の場合はトレーラーヘッドであるのに対し、JRA式のものはトラクターによる牽引であるため、判別は容易である。
「宮道式」の名は開発者である宮道信雄の名に由来する。
中央競馬では1960年7月2日の小倉競馬場の3才戦(※旧年齢表記)から導入された「ウッド式発馬機」が最初である。これは当時、ニュージーランドの競馬で用いられていたゲートを参考に中央競馬会が開発したものといわれ、当初のものは足元にパイプがあり馬が躓くなど問題のある構造であった。しかし、それ以降の幾次にも渡る改良により、現在使用されているゲートは世界的に見てももっとも安全な競馬用発馬機の一つと言われ、海外の競馬場にも輸出されるほどになっている。
現在のJRA式(日本スターティング・システム社製)と呼ばれるゲートは、金具と電磁石の併用による電動開扉をするシステムとなっている。その為、開扉タイミングの誤差は少ない。ただし、馬のゲート突破などによる金具の破損などの問題により、外枠発走などの競走結果にも関わる問題が生じる欠点が、地方競馬で主流の「宮道式」との比較などで指摘されている。